アニメーション表現についての三つの観点 後編ではアニメーション表現についての観点を書く。別の言い方をすれば、おっこの成長と物理現象との関係性だ。この場合の三つの要素として「光」「音」「運動」を選んだ。あまりに基本的な要素であり、素人の語る事…
中編・後編はネタバレが含まれるので、また劇場で本作品を観てない人は、観た後に読むことを勧める。中編からは「おっこの成長」を頂点とした四面体における他の三要素について書いてゆく。 まずは監督による三要素からいこう。 講談社アニメ絵本 若おかみは…
劇場版を観るまで 劇場版「若おかみは小学生!」。 この作品を初めて観た時の衝撃からだいぶん時間がたち、心持ちもかなり落ち着いてきたので、今現在に想う事をとりとめもなく書いていきたい。 小説 若おかみは小学生! 劇場版 (講談社文庫) 作者: 令丈ヒロ…
⑥では、直接食べる訳ではないが、身体にかかわるあれこれを記しておく。もう、完全に備忘録であるが、最後までおつきあいいただければ幸いである。 大島椿 60mL 出版社/メーカー: 大島椿 発売日: 2015/04/09 メディア: ヘルスケア&ケア用品 この商品を含むブ…
⑤では魚介類・肉類の食材を中心に書いていこう。 <魚介類> 「この世界の片隅に」にでてくる魚類は一部を除き、鳥類・昆虫や植物そして貝類の的確な描写に比べると、種が同定できるようには描かれていない。しかし登場の頻度はそれなりにあるので、魚好きの…
<菓子> 豊かな時代の食の象徴といえば、菓子類はその典型であろう。「実物の」菓子が登場するのは、すずの少女時代と周作の浦野家訪問の時、そして戦争が終わって進駐軍が来てからだ。すずさんが呉に嫁に行ってから終戦まで実体としての菓子はなくなる。 …
主食があれば副菜も必要だ。といっても、主食が不足しているのに副菜が十分にある訳もない。しかし、そんな状況でも知恵を絞って食卓を豊かにしようとするのが生活というものであろう。 この世界の片隅に 劇場アニメ原画集 作者: 「この世界の片隅に」製作委…
「腹が減っては戦はできぬ」とはよく言うものの、その腹を満たすのはやはり「主食」と呼ばれるものであろう。②ではコメと代用食について思いつくままに書く。 <コメ> 稲・Oryza sativa 米は戦前の日本人の主たるエネルギー源であると同時に、文化的な支柱…
食い意地が張っているので「この世界の片隅に」に登場する食べ物については公開初日で見た時から密かにあれこれ気になっていたのである。とはいえ、情報量が膨大すぎる作品なので、映画館で何度見てもわからない事もあり、食べ物に関しては少々もやっとして…
KUBO 二本の弦の秘密 を観てきた。 あくまで個人的な意見ではあるが、表現手段と物語が完全に表裏一体化したおそらくは歴史に残る傑作であろう。この作品に関しては、ストップアニメーションの気の遠くなるような超人的な制作過程が宣伝でも解説でも強調され…
「この世界の片隅に」を映画館で最後まで見終わって、「あの後、すずさんたちはどうなったんだろうなあ」と思った人は、おそらく私だけではないだろう。そして、「今でもすずさんは生きています!」という片渕監督の言葉も感覚的な真実味を帯びていると思っ…
皆さま、あけましておめでとうございます。 今回は年賀状について。 毎年、年賀状を作っていると、年を追うごとに年賀状のアイデアが枯渇してきて、困った事になる。せっかく出すのだから、月並みな内容では申し訳ないという気持ちがあるのだが、さすがに一…
コトリンゴで良かった 「この世界の片隅に」の音楽がコトリンゴで本当に良かったと思う。というのも、こうの史代作品の中での「音の風景」をアニメーションで実現するには「空気感を作る成分として無駄なくひっそりと機能する音楽」がなにより大事で、その「…
「また珍奇な事を」と思っているかもしれない。確かにこの作品そのものを数式で表そうなど、無理筋な話だ。ただ、映画「この世界の片隅に」について考えていると、頭の中で様々な要因が交錯し、さらに作品への想いが強くなってゆくのを日々実感する。「これ…
「君の名は。」から「この世界の片隅に」 新海誠の「君の名は。」は公開から既に数カ月経過しているにもかかわらず、未だに膨大な数の高校生を虜にしている作品だ。瀧、三葉という主人公二人の心身入れ替えを通して、それぞれの日常が交代してしまうのは単純…
「でもアニメでしょ」と言う人に 随分と大きく出たタイトルだが、既に作品を映画館で見ているなら「そうかもしれんな」と思った人もいるかもしれない。時間が経てば経つほど、「この世界の片隅に」の物凄さを実感している。既に「音の風景が広がる」「化学」の…
名前の由来 「この世界の片隅に」を映画で初めて知り、このページにたどり着いた人は、この記事のタイトルを見て「あの作品と化学なんて関係あるのか」と不思議に思っているかもしれない。一方、原作の「この世界の片隅に」に深く親しんでいる人なら「ああ、…
冒頭5分間の奇跡 予告のPVを見ている時分から、「これはすごい!」という予感はあったのである。しかしながら、本編はそんな予感をはるかに超えるものであった。 原作とおなじく、海苔が干してある浜辺で、すずが母親に海苔の荷を背負わされる所から映画は…
微かな揺らぎも時間を作る ロボット工学の言葉に「不気味の谷」というものがある。ロボットをなるべく人に似せて作ってゆくと徐々に親近感がわいてくるのだが、どこかで「人に似ているが故の不気味さ」が感じられ親近感が一気に低下(谷)するという現象であ…
音は時間を作る NHK‐FMで「音の風景」という番組がある。様々な場所の音だけを流しつつ、それがどんな場所でどんな状況なのかを簡潔に説明するだけの内容である。音だけだから、その風景が実際にどんなものなのか、言葉で説明されてもほとんどわからない。し…
以前に書いた「君の名は。」の科学・後編であるが、その後、小説版をよくみたら、彗星の諸条件および衝突時刻などが書いてあったので、さすがに部分訂正では済まないので、改めて書くことにした。全く、何を読んでいたのか我ながら情けないが、計算しなおす…
人は見たいものを見る 普段、何気なく見ている風景も、何かのきっかけで、それまで全く存在すら気付いていなかった物が急に見えてくる事がある。例えば、「歯が痛いなあ」などと感じて街を歩いていると、「こんなに歯医者の看板ってあった?これでは町じゅう…
人の記憶は全くあてにならないのは重々承知しているつもりだが、いざ自分の事になると「忘れた事」の自覚がないから始末が悪い。思い出せない事は、私の中ではない事になっているから、見落とした事自体に気付かない。で、改めて「事実」を提示されると「そ…
ここからは、個人的な理科的視点で「君の名は。」について書いてゆく。「こんな細かい事をくどくどと書いて何になるのか」と言う意見もあるかもしれないが、はっきり言って何もならない。ただ、考えてみるのが面白いから考えているだけである。なるべく正確…
高校生が羨ましい 今の高校生は幸せだと思う。なぜなら、大林監督の「転校生」「時をかける少女」、梶尾真治「クロノス・ジョウンターの伝説」の成分を含みながら、物語のおおまかな枠組みは映画「オーロラの彼方へ」で、全編にわたって「秒速5センチメート…
しつこくシンゴジラについて書く。いいかげん、落ち着きを取り戻したいのだが、いろいろ書きたい事が湧き上がるのがこの作品の特徴だから致し方ない。今回は出演者についての個人的な雑感を垂れ流してゆく。 「シンゴジラと文系理系」で、「出演者はほとんど…
以前に「人は理系として生れる訳ではない」という小文を書いた。興味の対象が自然であれば理系で、人間であれば文系という話であった。もちろん純粋に理系あるいは文系に特化した人などはいない。各々の比率は違えども、現実に社会生活を送っている以上、誰…
同じ映画を見ても、感じ方が人それぞれなのは当然ながら、シン・ゴジラほどその感じ方・捉え方が多種多様に分岐する作品もなかろう。公開後たった二週間程度でとんでもない数のコメント・感想・解釈・解説がネット上に溢れかえっているのは前回のシン・ゴジ…
現代文の大学入試などで、存命の作家の作品が使われる事がある。当然、入試後に原作者に著作使用の報告がいくのだが、その答えを見て原作者が「ええ?その解釈は違うんだけどなあ」とこぼす事はよくあるらしい。問題作成者としては、入試の前に「この解釈で…
何をやっていても、自分が関わっている事が世の中の中心になってしまうのは当然のことである。日常でいつもその事を考えているから、その事を通した世界を見ている。人間というのは、一回きりの人生しか歩めない訳だから、途中、多少の修正は入ったとしても…