ZoaZoa日記

気の向くままに書き散らしてゆきます。皆さまの考えるヒントになればと思います。

2016-01-01から1年間の記事一覧

音楽で観る「この世界の片隅に」

コトリンゴで良かった 「この世界の片隅に」の音楽がコトリンゴで本当に良かったと思う。というのも、こうの史代作品の中での「音の風景」をアニメーションで実現するには「空気感を作る成分として無駄なくひっそりと機能する音楽」がなにより大事で、その「…

数式で表す「この世界の片隅に」

「また珍奇な事を」と思っているかもしれない。確かにこの作品そのものを数式で表そうなど、無理筋な話だ。ただ、映画「この世界の片隅に」について考えていると、頭の中で様々な要因が交錯し、さらに作品への想いが強くなってゆくのを日々実感する。「これ…

高校生のための「この世界の片隅に」

「君の名は。」から「この世界の片隅に」 新海誠の「君の名は。」は公開から既に数カ月経過しているにもかかわらず、未だに膨大な数の高校生を虜にしている作品だ。瀧、三葉という主人公二人の心身入れ替えを通して、それぞれの日常が交代してしまうのは単純…

「この世界の片隅に」は無形文化遺産である

「でもアニメでしょ」と言う人に 随分と大きく出たタイトルだが、既に作品を映画館で見ているなら「そうかもしれんな」と思った人もいるかもしれない。時間が経てば経つほど、「この世界の片隅に」の物凄さを実感している。既に「音の風景が広がる」「化学」の…

「この世界の片隅に」の化学

名前の由来 「この世界の片隅に」を映画で初めて知り、このページにたどり着いた人は、この記事のタイトルを見て「あの作品と化学なんて関係あるのか」と不思議に思っているかもしれない。一方、原作の「この世界の片隅に」に深く親しんでいる人なら「ああ、…

音の風景が広がる 「この世界の片隅に」後篇 

冒頭5分間の奇跡 予告のPVを見ている時分から、「これはすごい!」という予感はあったのである。しかしながら、本編はそんな予感をはるかに超えるものであった。 原作とおなじく、海苔が干してある浜辺で、すずが母親に海苔の荷を背負わされる所から映画は…

音の風景が広がる 「この世界の片隅に」中篇 

微かな揺らぎも時間を作る ロボット工学の言葉に「不気味の谷」というものがある。ロボットをなるべく人に似せて作ってゆくと徐々に親近感がわいてくるのだが、どこかで「人に似ているが故の不気味さ」が感じられ親近感が一気に低下(谷)するという現象であ…

音の風景が広がる 「この世界の片隅に」前篇 

音は時間を作る NHK‐FMで「音の風景」という番組がある。様々な場所の音だけを流しつつ、それがどんな場所でどんな状況なのかを簡潔に説明するだけの内容である。音だけだから、その風景が実際にどんなものなのか、言葉で説明されてもほとんどわからない。し…

「君の名は。」のティアマト彗星を再考する

以前に書いた「君の名は。」の科学・後編であるが、その後、小説版をよくみたら、彗星の諸条件および衝突時刻などが書いてあったので、さすがに部分訂正では済まないので、改めて書くことにした。全く、何を読んでいたのか我ながら情けないが、計算しなおす…

「君の名は。」と震災

人は見たいものを見る 普段、何気なく見ている風景も、何かのきっかけで、それまで全く存在すら気付いていなかった物が急に見えてくる事がある。例えば、「歯が痛いなあ」などと感じて街を歩いていると、「こんなに歯医者の看板ってあった?これでは町じゅう…

改めてもう一度みたい「君の名は。」

人の記憶は全くあてにならないのは重々承知しているつもりだが、いざ自分の事になると「忘れた事」の自覚がないから始末が悪い。思い出せない事は、私の中ではない事になっているから、見落とした事自体に気付かない。で、改めて「事実」を提示されると「そ…

「君の名は。」の科学 後編

ここからは、個人的な理科的視点で「君の名は。」について書いてゆく。「こんな細かい事をくどくどと書いて何になるのか」と言う意見もあるかもしれないが、はっきり言って何もならない。ただ、考えてみるのが面白いから考えているだけである。なるべく正確…

「君の名は。」の科学 前篇

高校生が羨ましい 今の高校生は幸せだと思う。なぜなら、大林監督の「転校生」「時をかける少女」、梶尾真治「クロノス・ジョウンターの伝説」の成分を含みながら、物語のおおまかな枠組みは映画「オーロラの彼方へ」で、全編にわたって「秒速5センチメート…

シンゴジラに出演している面々

しつこくシンゴジラについて書く。いいかげん、落ち着きを取り戻したいのだが、いろいろ書きたい事が湧き上がるのがこの作品の特徴だから致し方ない。今回は出演者についての個人的な雑感を垂れ流してゆく。 「シンゴジラと文系理系」で、「出演者はほとんど…

シンゴジラと文系・理系

以前に「人は理系として生れる訳ではない」という小文を書いた。興味の対象が自然であれば理系で、人間であれば文系という話であった。もちろん純粋に理系あるいは文系に特化した人などはいない。各々の比率は違えども、現実に社会生活を送っている以上、誰…

シンゴジラの音楽

同じ映画を見ても、感じ方が人それぞれなのは当然ながら、シン・ゴジラほどその感じ方・捉え方が多種多様に分岐する作品もなかろう。公開後たった二週間程度でとんでもない数のコメント・感想・解釈・解説がネット上に溢れかえっているのは前回のシン・ゴジ…

シンゴジラの生物学

現代文の大学入試などで、存命の作家の作品が使われる事がある。当然、入試後に原作者に著作使用の報告がいくのだが、その答えを見て原作者が「ええ?その解釈は違うんだけどなあ」とこぼす事はよくあるらしい。問題作成者としては、入試の前に「この解釈で…

生命科学と水素水

何をやっていても、自分が関わっている事が世の中の中心になってしまうのは当然のことである。日常でいつもその事を考えているから、その事を通した世界を見ている。人間というのは、一回きりの人生しか歩めない訳だから、途中、多少の修正は入ったとしても…

こどものせかい

何かの作品を見たり読んだりしていると、ふと「ああ、これって、アレに似ているなあ」と一瞬、思うものの、あまりに違う世界であるために「ううん、似ていると言うべきなのか」と戸惑う事がよくある。これは自分だけの内面的な相似なのか、あるいは単にそれ…

世界の国からコンニチハ

SFなどで、知的文明のある地球以外の惑星に行くと、多くは地球とは比べ物にならないくらいに「単一な文化圏」を持った種族として表現される事が多い。「高度な文明を築いて」という説明なら、その惑星には、もっともっと多様な文化があってしかるべきだろ…

日本酒の音楽

幼い頃は「大人になったら違いの分かる人間になりたい」と本気で思っていた。別にカフェイン飲料の宣伝に感化されていた訳ではない。「些細な差異が判別できるようになるには長い年月が必要なのだから、違いがわかると言う事は、大人であることなのだ」とい…